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きゅーchan流 ユーミンのアルバム解説


DAWN PURPLE


このアルバムのジャケットには謎のレンズで顔を覆ったユーミン。これは「機械化」の象徴である。誰かがあなたを探してるでは、恋敵をパソコンのウイルスにたとえて、状況を無機的に表現している。その一方で人間の感覚を大切にした作品も収録されている。「夏の匂い」や「あなたの声」という嗅覚・聴覚の記憶をとりあげた情熱に届かない〜Don't Let Me Goや色彩を重視した遠雷など。無機質なものと人間の感覚とを対比させ、機械化に流れていく世の中への警鐘を鳴らしている。


TEARS AND REASONS


このアルバムはすべて恋愛の歌で構成されている。現在進行形の恋・失恋・そして想い出の中の恋。いろんな恋が歌われている。現在進行形のミラクルでは、好きな人といる最高潮の瞬間を描いている。失恋の歌である無限の中の一度では別れる前の最後のときを一生懸命心の中に刻み付け、良い想い出として潔く別れようとする。それからMisty China Townは、彼との想い出を回想する。その想い出に浸っている主人公はとても幸福そう。
このアルバムでのメッセージは、状況は一瞬一瞬で変わっていくものだから、今の瞬間を大事にしようということ。今を大事にすることで、良い想い出に変わっていくのである。



U−miz


このアルバムは、アルバム全体を通してのテーマはないが、歌詞・曲調ともにバラエティーに富んだものとなっている。さよならするため最後に激しい恋をする真夏の夜の夢は、ラテン調のリズムが最後の瞬間にむかって激しさを増す主人公の想いをよりリアルに表している。Julyは最初、静かな曲調で夏の早朝の公園の風景を歌う。“重い瞼をあけるように睡蓮が音をたててた”などの美しい歌詞が、静かでスローモーション的な世界を作りあげている。そして、サビでは伴奏が大きくなり、恋が終わってしまい熱い想いのやり場を失った主人公の激情を歌い上げる。この静と動の対比が美しい。人の熱い想いをひしひしを感じさせる曲が続いたあと、ラストの二人のパイレーツで、すべてが思い出に変わり安らぎを得るのである。ユーミンの動と静の手法が光るアルバムである。



THE DANCING SUN


KATHAMANDU


Cowgirl Dreamin’


WAVE OF ZUVUYA


Frozen Roses


アルバムタイトルには、きらめきや切なさなどを感じる贅沢な瞬間を凍らせて、永遠に留めるという意味が込められている。このアルバムのテーマは「今を生きよう」だ。このフレーズはオープニングナンバーのNow Is Onに織り込まれている。今を懸命に生き、その瞬間を心に焼付けて、次への糧にしようとする積極的な女性像が描かれている。失恋の歌Blue Rain Blueは、“モノクローム”や“グレイ”など沈んだ色調から醸し出す淋しさと、“パラパラ”という雨の音を跳ねるようなリズムで歌うのが対称的。失恋の痛手にひたりつつも、失恋という区切りにより次へ気持ちを向けはじめた主人公の微妙な心持ちを表している。この曲のなかに“私はひとり とても悲しいけど なぜかとても自由”という歌詞がある。「自由と孤独はセット」という感覚はいずれの時期の作品からも窺うことができるが、このアルバムではその感覚を含んだ歌が多い。
ユーミンは、いろんな曲調の音楽を紡ぎ出していることで有名だが、このアルバムはその才能が如何なく発揮されている。ジャズあり、ラップあり、オリエンタル調の曲あり、そしてユーミンがもっとも得意とする“ほっこり系”の曲も収録されている。そして、どの曲も甲乙つけがたい。聴き応えあるアルバムである。


acacia


タイトルの読みは「アケイシャ」。アカシアの英語読みだそうだ。このアルバムのテーマは“懐かしさ”。ただ懐かしいだけではない。行ったことのないところや経験したことのないことでも、ふと懐かしさを感じる瞬間があるよね。そんな“懐かしさ”。ユーミンの言葉を借りると「DNAレベルの懐かしさ」である。タイトルチューンのacacia(曲のほうは「アカシア」と読む)は、まさにテーマを総括したもので、“懐かし過ぎる未来がたった1つの探し物”というフレーズに集約されている。
 このアルバムは、ユーミンにしては珍しく夏に先駆けて発売された。PEARL PIERCE以来のことで、なんと19年ぶりなのだ!なので夏の曲が多くなっている。Summer Junctionでは序奏で夏の照りつける太陽のイメージがよく表されている。110°Fは熱帯にいる感じがする。「°F」は華氏温度のことで、摂氏にすると42℃だそうでやっぱりかなり暑い(というより熱い)!
 また弾き語りというのもコンセプトの1つになっていて、アルバムの後ろのほうの曲に多い。ユーミンの弾き語りはコンサートでも披露してくれるが、切々と歌い上げるところがサイコー!


WINGS OF WINTER, SHADES OF SUMMER


7曲中、冬の歌は4曲、夏の歌は3曲という構成になっている。アルバムを通しての色合いは、冬のほうが勝っていると感じる。6曲目の雪月花は、雪がしんしんと降り積もるようなイントロでぐっと聴く人の心をつかむ。そして切ない歌詞で思わずじーんとしてしまう。まさに名曲。3曲目のNorthern Lightsはユーミンの北欧旅行の成果である。静かだが、少し妖しくて、緊張感のあるメロディーとオーロラの舞う平原のイメージがピッタリ。この相乗効果はユーミンでないと出せないだろう。
このアルバム夏と冬に焦点をあてているが『SURF&SNOW』とは大きく異なっている。『SURF&SNOW』は“リゾート”のイメージが強く、ドライブのときに車の中で聞くのに適している。一方、『WINGS OF WINTER, SHADES OF SUMMER』は、ひとり(もしくは数人)で、部屋でじっと聴き入るタイプのアルバムである。


Face’s


初のセルフカバーアルバム。まず、ジャケットがかわいい!60年代・70年代・80年代・90年代を代表するファッションに身を包んだユーミンたち(?)がポーズを決めている。“ポップでキュート”って言葉がピッタリ。
収録曲は70年代〜80年代前半のものが中心となっている。他の人への提供曲が8曲、リメイクが2曲という構成だ。バンバンが歌って大ヒットした「いちご白書」をもう一度は、バンバンの歌では“僕は無精ヒゲと髪をのばして学生集会へも時々出かけた”という歌詞がピッタリで、まさにその時代の当事者っていう雰囲気があるのに対して、ユーミンヴァージョンでは客観的なイメージで“過ぎ去った昔があざやかによみがえる”という時の流れを感じさせるフレーズが生きている。リメイクではやさしさに包まれたならが収録されている。この曲では、荒井由実と松任谷由実のデュエットが楽しめる。元ヴァージョンより包容感が増している。これは長いキャリアがあるユーミンだからこそ成し得た作品だ。
オリジナルを知ってる人も知らない人も十分楽しめるアルバムである。


VIVA!6×7


アルバムタイトルは「ビバ!シックスバイセブン」と読む。60年代ごろのヨーロッパ映画をイメージして作ったそうだ。1曲1曲が映画の1シーンのようで、このアルバムを一通り聴くと、ひとつのストーリーを味わえる。一組の男女の駆け落ちというインパクトある幕開け。しかし愛しすぎるがゆえに深い苦しみに襲われ、やがて2人は別れてしまう。
このアルバムでは、ユーミンの情景描写力が遺憾なく発揮されている。だから音楽を聴くだけで、五感を伴った鮮やかな風景を思い描くことができ、まるで映画のような映像を目の当たりにしている気分にさせてくれる。タイトルの「6×7」は6×7判のフィルムのこと。一般的な35mmフィルムより大画面で微細な部分まで捉えることができるフィルムで、ユーミンの描写力を表すのにピッタリの言葉だ。
このアルバムを代表する曲は2曲目の恋の苦さとため息とである。会えないのに、「いますぐ会いたい」という気持ちが募り、抑えようにも抑えきれず、苦しさに苛まれる。このアルバムには「苦い」、「苦しい」という言葉がたびたび使われている。深みのある静かな曲調に、抑えきれないほどの激情が込められた歌が重なっていて味わい深いアルバムに仕上がっている。




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This page is produced by Yuko Nakai.

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